子供が成長していく上で大切な、『心の食物』ストロークについて勉強して来ましたが、反対に成長を止めてしまうかもしれないディスカウントがあります。
これは正当に認められていない状態をディスカウントと言います。自分や他人の存在を認めない。軽視、無視をすること。人間を値引きして人間と認めない。相手の人格を認めない、軽視・無視をする事、要は値引きをして人間と認めない、相手の人格を認めない行為をディスカウントと言います。

ディスカウントも『肉体的ディスカウント』と『心理的ディスカウント』の2つに分けることができます。

親が子供を人間として認めない。子供が親を人間として正当に認めないで、軽視したり無視したりします。
“殴る”“蹴る”“髪を引っ張る”“せっかん”など、これらは人間が人間に対してやることではありません。

そして自殺は自分で自分の命を終わりにしてしまうということは、自分の事を認めていないわけですから殺人と同じディスカウントと言われています。また殺人は、人として相手の事を認めていなければ、その命を奪う事もできると言われています。この2つはディスカウントの中でも最悪のディスカウントです。

『心理的ディスカウント』は“皮肉”“いやみ”“けなす”“おせっかい”“目をそらす”などがあります。“憎しみ”の次に“過干渉”とあります。［図５］には書かれていませんが、“過保護”もディスカウントなので書いておいて下さい。

例えば、まだ小さい子供は、ボタンをかけようとして一生懸命やっているのですが、なかなか上手くできなかったり、ボタンが互い違いになったりすると、お母さんがつい手を出して子供のかわりにやってしまいます。そんな事をやり続けてしまうと、「難しい事は自分がやらなくても、誰かがやってくれる」と感じて、自分が少しでも難しい、大変と感じた事はやらないようになってしまいます。これは子供の能力を軽視していて、子供のやりとげようとする意思を否定してしまう結果になり、可能性の芽を摘んでしまうことになります。
“干渉”“保護”は必要でストロークになりますが、行き過ぎてしまうとディスカウントとになってしまうという事です。

そして“無視”“無関心”とありますが、この2つは『肉体的ディスカウント』の中の“自殺”“殺人”に匹敵する『心理的ディスカウント』の中の最悪のディスカウントです。まわりから“無視”“無関心”を受け続けると、その都度、精神的にものすごいショックを受け、生きていく事ができなくなってしまい、いずれ死んでしまうと言われています。

人間は何を求めて生きているかというと、ストロークを求めて生きています。ストロークが無ければ生きていけないのが人間だと言われています。

子供にヤル気を起こさせるも、無くすも、良くするも、悪くするも『ストローク』と『ディスカウント』です。

『心の食物／その１・その２』でお話させていただいた、ストローク・ディスカウントについて理解していただけたでしょうか。

いつでも子供に『ストローク』を与え続けて下さい。周りの人に『プラスのストローク』を与え続けることで、自分の元に『プラスのストローク』が返って来ます。
『マイナスのストローク』を与え続けることで、自分の元に『マイナスのストローク』が返って来ます。
『プラスのストローク』をたくさん持っている人は、周りの人にプラスのストロークを与えることのできる人です。そして自分自身にも与え続けて行くことが大切です。
まずは親の私達から『プラスのストローク』を子供にどんどん与え続けて行きましょう。

よく『子供を育てる・子育てする』と言います。子供を育てる事を「育児」と言い、「育児」は「育自」なのです。子供を育てるつもりで自分が育てて貰っているのです。
そして「教育」は「共育」なのです。子供と一緒に自分が育つのです。

『心の食物／その２』ではディスカウントについてお話させて頂きました。
園児や自分の子供、ご家族、周りの人に、何気なくシスカウントを与えていませんか？
子供や自分の周りの人に、そして自分にストロークを与えていましたか？振り返ってみて下さい。

私達は『心の食物』『ストローク』がもらえなくなると生きて行く事が出来ないと言われていますが、『心の食物』をもらえなくなったら人間はどうなるのか。心だけで無く体にどんな影響が出るのか。次回は実話を元にお話させて頂きます。